2009年12月6日日曜日

哲学する科学:ミームがくれる幸せ

私たち人間は、<遺伝子がくれる幸せ>を求めて、四苦八苦しています。

遺伝子の乗り物としての生物である以上、ある程度は遺伝子の都合に振り回されるのは、致し方のないところです。

しかし一方で、私たち人間の脳の中には、遺伝子とは無関係の情報たちも溢れています。

それらは、あなたが生まれた後に、脳の中に入ってきた情報たちです。

目から、耳から、他の感覚器官から・・・

文字として、言葉として、他者の行いとして・・・


・・・例えば思春期の頃、あなたが「父の背中が語る何か」に気がついた時、あなたの脳はその「何か」を取り込み、自分のプログラムの大切な一部として組み込み・・・

そしてその瞬間からその「何か」が、あなたの行動に影響を及ぼし始めたはずです。


あるいは、昨日ネットを検索していてたまたま見つけたブログに書いてあって、あなたの心を引き付けた「何か」もまた、あなたの脳に取り込まれ、今ではあなたの一部として動き始めています。

私たちが生きるということは、こんな風に日々、外界からの情報を取捨選択し、私たちの心を、そして未来の自分の行動を作り上げていくプロセスそのものなのです。

そしてこの、「取捨選択される情報」を「ミーム」と呼びます。



ミームは様々な形で日々、私たちの中に入ってきます。

現代社会では、ネットやテレビ、本やメルマガなどからも、洪水のように押し寄せてきます。


そしてそれら無数のミームたちの一部はあなたの心に残り、あなたの一部となっていきます。


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では、その「ミーム」がくれる幸せとは、どのようなものなのでしょうか?

生まれてからこれまで、あなたの中に取り込まれた無数のミームたち。それがあなたの心を形作っています。

あなたが何を信じるか、何を尊いと思うか、それもまた、あなたの心が、どんなミームによって構成されているかで決まります。

(遺伝子が与えてくれる以外の)あなたの心が感じる幸せは、それらのミームたちの囁きなのです。


つまり、ミームがくれる幸せは、<あなた自身の心が感じる幸せ>です。


あなたの心が、あなたの体験を解釈し、深く納得し満足するとき、

それは、あなたの「心の遺伝子」である、ミームがそうさせているのです。

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ところで、ミームも遺伝子と同じく、「利己的」な存在であり、人間の「幸せ」には無頓着です。

それらは単純に、コピーされる機会があればコピーされ、人から人へ、会話やメディアをとうして増殖するのみです。

その結果として、私たちの心が構成されていき、私たちの行動が生まれてきます。


私たちは遺伝子の命令で動くのみならず、脳の中のミームたちの命令で動いているとも言えるのです。


では、私たちはどうしたら自らを幸せに導けるというのでしょうか?


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ご意見、ご希望、ご質問は mailto:thinking-science@live.jp まで

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