本編に入る前にまた一つ、私のお気に入りのメルマガを紹介します。
先のことなど考えず、とりあえず海外に飛び出したある男性の手記・・・なんだか、勇気をもらえますよ!
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『今や、私たちが誰であるかについて根底的に新しい考え方が得られた。私たちの一人ひとりは、人体と脳という物理的な機構の上を走る巨大なミーム複合体――ミーム・マシーン――である。』 ~スーザン・ブラックモア
私たちの脳は遺伝子が生み出した複雑な情報処理装置(ハードウェア)であり、その機械の上で実行される複雑なプログラムがミーム複合体であり、そのプログラムは脳の上で実行されながらも新しいプログラム(ミーム)を外部から取捨選択し、日々変異しながら実行され続けている・・・
人間は生物学上、遺伝子淘汰によって生み出されたという点や体の各部の構造などから他の地球上の生物たちとそれほど大きな差異はないが、巨大な脳と、その脳の中で生まれた第二の自己複製子、ミームによって生み出される複雑な行動や文化を持つという点で大きく異なります。
特に、私たちが感じる≪私≫という感覚は、≪自己≫というミームの複合体が生み出すものであり、そういう意味で私たちは「ミーム・マシーン(ミーム処理装置)」であり、その装置の上で動いているソフトウェアこそ私たちであると考えるならば、「私たち=ミーム」という図式も成り立ちます。
これが、ブラックモアの「哲学」であり、彼女がミームを研究して持つにいたった「信念」です。
余談になりますが、考えてみると少子化問題や性同一性障害など、人間を遺伝子の乗り物とだけ考えると、本来遺伝子が作った脳が遺伝子に反逆しているようにも見えます。
脳というハードウェアだけの問題として考えるなら、「子供を欲しがらない脳」や「同性に惹かれる脳」などが、遺伝子の組み合わせから生まれてきて、生き残りに有利でないが故に淘汰されるのが自然なはずです。
しかし、≪子供はいらない≫≪子育てめんどくさい≫≪自分の人生は私のもの≫≪仕事に生きる!≫といったミームの複合体や、≪異性愛だけが愛ではない≫≪前世での縁≫≪生物学的な愛を超えた関係≫といったミームの複合体などが脳の中で生まれ、他のミームと結びつくことで、ミーム同士の競合状態を勝ち上がってくる場合もあると考えると、遺伝子だけで説明するよりもしっくり来る気がしませんか?
話を戻しましょう。
ブラックモアはその著書の最終章でこのように述べています。
『もしミーム学を真剣に受け止めるなら、進化的な過程に飛び込み、それを止め、それに指図をし、あるいはそれに対して何かをする誰かあるいは何かが存在する余地はありえない。あるのはただ、終わることなくいつまでも続けられる遺伝子とミームによる進化的過程だけである―――そして見つめるものは誰もいない。』
・・・絶望的な話に思えるかもしれません。
しかしブラックモアは、ミーム学の考え方を武器に≪自己複合体≫の支配から抜け出すことができれば、人間は『罪の意識、恥、自信喪失、失敗への恐れなどが薄れていき、より良き隣人となっていく。』と説きます。
実際に私は、ブラックモアの本に含まれる≪ミーム≫(ミームに関するミーム)に「感染」することで、以前より自分を客観視できるようになり、些細なこと(やそうでないと思えること)で悩まないようになってきています。
・・・ミームに関する知識の広まりは、人類の変革を促す可能性がある・・・
私は、そう信じています。
参考文献
ミーム・マシーンとしての私
スーザン・ブラックモア著
草思社刊
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